読書メモ:居場所。

オーディオブック読書メモ

説明するならば、「闇営業問題」が大ニュースになった時の吉本興業の会長、あるいはダウンタウンの初代マネージャーの大﨑 洋さんの初の著書であり、自伝的な内容の本である。自伝的な内容であり、かつ自身が孤独で精神的にも追い詰められていた経験があり「自分の居場所を確保せよ」というメッセージブックでもある。そして氏の自伝的な内容であるということは、漫才ブームからダウンタウンを筆頭とする新しい笑いを作った世代の人物や企画のエピソードも必然入っており、演芸の記録としても読めます。ダウンタウンは8歳年上かな、シュールでギリギリ面白く成立させる初期の漫才を見て、クリエイティブなセンスを感じながら大笑いした記憶がある。しゃべくりの面白さやテクニックって当時全くわからなかったが、何かを意識的に壊してやっている確信犯的振る舞いにかっこいいなと思った。おそらくその頃のことであろうエピソードが綴られる。これは、著者でしか書けないことだろう。

そんな華やかで、キラキラした世界の話なのに、本書のトーンは全く浮かれておらず、むしろ暗いトーンである。目次からしてそうだ。人との交流は仕事として当然ありながらもどこかで醒めていて、距離はとっている。とらなければ精神的にギリギリでやっていけなかったともある。こんな時はこうやって自分を保った、みたいな重めのノウハウもあったりして、芸能界の華やかさとのコントラストがすごい。

しかしダウンタウンが出てきた頃は「お笑い芸人」が「お笑い番組」という枠に出るという露出が中心だった。というかそういうものだった。それが今やどうでしょう、情報番組にもニュースにも教育番組にもドラマにも芸人さんがキャスティングされている。そしてバラエティ番組そのものも増えている。著者が自分の居場所を確保しながらもがいた40年で、芸人さんの居場所は劇的に増えた。居場所を拡大していった歴史ともいえるでしょう。

著:大﨑 洋
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『居場所。: ひとりぼっちの自分を好きになる12の「しないこと」』
大﨑 洋 (著) 櫻井 慎也 (ナレーション) サンマーク出版

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